REPORT (GUEST)

[report]キラ星応援コミュニティ 第3回ギャザリング「挑戦者を支える生態系を創る~横浜での実践から~」レポート

分野   

Post : 2014.09.12
Permalink : https://catalyst-ba.com/archives/2640

2014年6月20日
世田谷まちづくりファンド
キラ星応援コミュニティ ギャザリング 
挑戦者を支える生態系を創る~横浜での実践から~
第3回開催レポート

■はじめに
第3回を迎えたキラ星応援コミュニティギャザリング。最初に、ギャザリングの主催者である世田谷まちづくりファンド運営委員の関口さんから、300を超える団体を助成してきた世田谷まちづくりファンドについての紹介、新部門立ち上げの背景や課題認識の説明がありました。「公益信託せたがやまちづくりファンドの基金の資金が減少してゆく中で、新たな仕組み作りにつながるよう、新部門としてまちづくり活動を支援したい」という力強いプレゼンテーションでした。

<運営委員より世田谷まちづくりファンドのあゆみと今後の課題について紹介>

■前回までの振り返り
次に、本日のナビゲーター役を務める世田谷まちづくりファンド運営委員の水谷衣里さんから、今日の流れの説明と、前回までの振り返りが行われました。
振り返りセッションでは、前回までのギャザリングに参加した方と、今回初めてギャザリングに参加された方がペアになり、ギャザリングへの参加動機など話しながら、互いの意見を共有する時間を持ちました。

<振り返りセッションでは、参加者同士が互いの意見を共有>

<ギャザリング参加経験者と初参加者がペアになり内容を共有>

■キーノートスピーチ「挑戦者を支える生態系を創る~横浜での実践から~」
場も和んだところで本日のゲストの登場です。
本日のゲストはNPO法人ETIC.横浜ブランチの田中多恵さんです。田中さんからは「挑戦者を支える生態系を創る~横浜での実践から~」をテーマに、NPO法人ETIC.と、その支部であるETIC.横浜ブランチの取組みについてお話頂きました。

<本日のゲスト 田中多恵さん>

起業家を輩出していこうというビジョンを掲げて20年
ETIC.は1993年ごろ、当時の早稲田大学でスタートした団体です。私自身は学生の時にETIC.を通じてインターンシップに参加し、社会人4年目を終えるころにETIC.に転職をしました。ETIC.のスタッフになってからは5年が経過しています。ETIC.のキーワードは起業家精神。次の時代を切り開く起業家的精神を持った人材を社会により多く輩出することを目指しています。

インターンシップと社会起業塾
この20年間、ベンチャー企業での長期実践型インターンシップを継続的に展開してきました。長期実践型インターンシップは、学生が半年間週3日以上、インターン生としてベンチャー企業に入り込むことで、内なる起業家精神を養い、その経験をもとに社会に出てからも起業家型リーダーとして活躍してもらうというコンセプトで運営されています。 
2002年からは「NEC社会起業塾」を始めました。社会起業塾は現在、花王や横浜市も運営パートナー企業として参画し、「社会起業塾イニシアチブ」としてプラットフォーム化しています。インキュベーションとインターンシップ。この2つがETIC.の中心事業です。

地域での展開
2005年からは「チャレンジコミュニティプロジェクト」がスタートしました。チャレンジコミュニティプロジェクトは、各地域のハブとなりインターンシップや創業支援を実践している団体とETIC.とが、互いのノウハウを提供し合いながら緩やかに連携しています。現在は北海道から沖縄までの45団体以上が参画しています。
また東日本大震災以降は、特に東北にフォーカスし、復興段階における地元の企業を応援する「右腕派遣」のプログラムも行っています。

数字で紹介すると
ETIC.の誕生から20年で2800人の学生がアントレプレナー・インターンシッププログラムに参加しています。またその卒業生から150名の起業家が生まれています。
また社会起業塾等の創業支援プログラムでは、340名の社会起業家を応援して参りました。応援してきた社会起業家の事業継続率を独自に調査したところ、93%という結果も出ています。
プログラム参加者は11万人。チャレンジコミュニティプログラムで45団体、駆け足になりましたがまずはETIC.は色々なことをトライをしている団体であることはわかっていただけたのではないでしょうか。

事業継続率93%の理由は?
社会起業支援について、ETIC.では「起業家精神を持った本気の当事者の人たちが師匠と出会い、その師匠と多様な関係性を育みながら事業を続けていく覚悟を決める」、ということを大切にプログラムを運営しています。また自分自身が解決に挑んでいる社会課題について、データなどの裏付けをきちんと取ってきて、第三者にも理解できる形で社会課題を発信できるようになってもらう、ということも意識しています。これは言ってみれば“課題の見える化・社会化”です。その結果は事業継続率93%という数字にもつながっているのではないかと思います。

横浜ブランチとは
ETIC.横浜ブランチは5年前に発足しました。横浜市経済局から、起業家のコミュニティを生み出し成長させたい、何かできないか、という相談があったことがきっかけです。「横浜から、新しい地域ソリューションを創る」を目標に日々試行錯誤をしています。
先ほどお話しました通り、チャレンジコミュニティプロジェクトでは全国各地の支援側の組織の皆さんと協働しています。横浜だけが唯一、ETIC.が直営で、起業家支援のコミュニティづくりを地域を軸に据えながら事業を行っています。
ETIC.横浜ブランチでは、ETIC.本体が長く行ってきた「長期実践型インターンシップ」を横浜にローカライズし「地域未来創造型インターンシップ」として運営しています。
また社会起業塾も、同じようにローカライズさせた形で運営しています。

横浜というフィールド
横浜の人口は370万人です。斑模様に人口減少が起こり、かなり急速に高齢化が進んでいます。ベイエリアで未来都市的な雰囲気もありますが、北部には新興住宅地も存在し急速に人口が増えています。海沿いには工業地帯があり、一方で農業も盛んです。日雇い労働者の方たちが簡易宿泊所に住んでいる町もあれば、港町ヨコハマを反映した多国籍なエリアも存在します。人口の3割は外国人です。人口規模が大きく市域も広いので、地区ごとの特性を把握しなければ課題が何なのか見えてきません。
横浜というまちは、様々なチャレンジを経験し新しいものを歓迎してきた土地柄を持っています。横浜港の開港前は人口が少ない「横浜村」だったところから、急激な人口増加に行政が対応できなかったこともあって、もともと住民が自分たちの事は自分たちでやろうよという精神も根付いています。市民活動や草の根NPO活動が盛んな土地柄でもあります。
また全国に先駆けて、地域貢献企業認定制度を作っています。地域貢献に意欲的な企業として、現在287社が認定されています。
大学も約20ほど存在し、ローカルなラジオであるFM YOKOHAMA、また横浜経済新聞といったメディアも存在します。行政の中でアントレプレナー制度を取り入れたり、行政職員も枠に嵌らない、企業との連携など柔軟に考える人が多いと感じています。

YOKOHAMAchangemaker’sCAMP
「YOKOHAMAchangemaker’sCAMP」とは、ETIC.横浜ブランチが横浜市役所から委託を受け行っている事業です。現在4年目を迎えています。
横浜市は、もともと相談窓口を設けたり、企業セミナーや講義といった形式でソーシャルビジネス支援や起業家支援をしていました。しかしより継続的な事業を行える社会起業家を育てるためには?と考えたところから「YOKOHAMA changemaker’s CAMP」が生まれたのです。

YOKOHAMA changemaker’s CAMPの運営の工夫
1つ目は「バーチャルボードミーティング」(以下VBM)です。VBMとはいわば仮想取締役会です。VBMでは、先輩起業家に参加いただき、中長期的な成長に向けた事業戦略や、さまざまな経営課題の解決策について集中的に議論します。一般論ではなく、自身の個別具体的な課題についての解決策について議論が展開されることが最大の特徴です。
VBMでは壁に直面している個人起業家に対し、メンターが「取締役」ないしは「理事」になったつもりでアドバイスを行います。VBMを開催するためには、起業家は自分が直面している経営課題が何なのか考え、それをアジェンダーとして持ち込んで議論することが求められます。
1度のVBMで完結はしません。VBMでメンターから宿題をもらい、1か月後に同じメンバーで集まり、進捗状況を報告し、またそこでアドバイスをもらい、そしてまた次の回へ・・という形で、複数回行っていきます。
2つ目は「コーディネーターによるサポート」です。YOKOHAMA changemaker’s CAMPでは、プログラム期間中、ずっと1人のコーディネーターが起業家の壁打ち役を果たします。コーディネーターは、その起業家にとって必要であろうメンターとの出会いや、必要であろう助成金情報などを適宜、起業家に渡しながら一緒に走っていきます。
3つ目は「仲間と一緒にPDCAをまわすこと」です。YOKOHAMA changemaker’s CAMPはその名前どおり、「YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMP」として、起業家同士が一緒に参加している同期という意識を持ってもらいます。支援期間の間中、仲間は時にライバルであり、時にスピードメーカーとして成長を加速させる役割を果たします。共に切磋琢磨していくことを、このプログラムでは大事に考えています。

具体的には
YOKOHAMA changemaker’s CAMPは2つのコースに分かれています。ブラッシュアップコースとリサーチコースです。
最初は2つのコース共通の「パワーウォームアップゼミ」を3回受講します。チームで学び合い、お互いの事業をワークシートに書いてアドバイスし合う研修です。この後最終選考があり、後半は専属コーディネーターが伴走しリサーチコースとブラッシュアップコースの2つに分かれます。
ブラッシュアップコースでは、横浜市内の経営者や、NPO理事、行政職員など、様々な見識と経験を持ったメンターが立場を超えて事業プランをブラッシュアップします。市内のステークホルダーの巻き込み方や、販促・広報の方法などについて、様々な観点から先輩方にアドバイスを受けながら、社会課題への有効なアプローチを探ります。
リサーチコースでは、若手社会人と行政職員の方々が応援団として「プロボノチーム」を形成し、一緒に社会課題の現状調査や事業の有効性をリサーチする形式を採ります。去年はブラッシュアップコース4名、リサーチコース4名で運営しました。

YOKOHAMA changemaker’s CAMPを実践する中で生まれた兆し。
YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPや社会起業塾を通じて「起業家」として参画していた人が、3年後・4年後には今度は起業家に対してアドバイスをする側、つまりメンター側になる例も生まれています。
またプロボノとして起業家のサポートするために入ってきた人が、その新しいサービスの創り手として活躍する、起業家がインターンシップ受入企業となる、プロボノが起業家の右腕スタッフのように一緒に働くメンバーになる、など場面場面で役割が入れ替わることもあります。まさに生態系です。YOKOHAMA changemaker’s CAMP は初めて3年ですが、それだけでもそんなことが起きています。この点はすごく手ごたえを感じています。

次にYOKOHAMA changemaker’s CAMPに参加した団体の実例と、プロボノの関わりを紹介します。

事例1 KAIEN
発達障害の人に特化したサービスを行っているKAIENという企業があります。同社からはリサーチコースに応募頂きました。同社では、社会に出てから発達障害がわかった方に対して、トレーニングを通じて、適性を生かした就労支援を行っています。また、子ども達の教育事業のプログラムも行っています。活動を行う中で、大学生の中にも潜在的に発達障害を持っていて、就職活動や、社会に出てから苦労する人がいるのではないかという仮説を持つようになりました。そこで発達障害の大学生向けのサービスが実際にニーズがあるのかというリサーチテーマを掲げて、プロボノが調査を行いました。その結果新サービス“ガクプロ”が始まりました。
つまり、プロボノが新サービスの創り手となった事例と言えます。
KAIENは現在横浜に事業所を持ち、いろいろな大学と関係を持ちながらガクプロを行っています。

事例2 一般社団法人こどもコミュニティサイト協議会
次にご紹介するのは、プロボノが、起業家の右腕スタッフとなった事例です。
一般社団法人こどもコミュニティサイト協議会は、子どもがネット利用する中で事件に巻き込まれたり、事件を起こしたりすることを防ぐために、主に学校を通じて、子を持つ親や、小学生にネットリテラシーを伝える活動を行っています。
同社はプロボノが参画し小学生を持つ家庭のニーズや本業界を取り巻く状況をリサーチしました。その結果、この6月に一般社団とは別に株式会社教育ネットを創業しました。
当時のプロボノのうち2名が株式会社教育ネットの社員になりました。これには私も驚きました。一人は団塊世代での方です。退職後のアクティビティとして週1~2日程度、契約スタッフとして参画しています。もう一人は30代男性で、前の会社を辞めて、この教育ネットが立ち上がる瞬間から社員として働き始めました。代表の引き込む力があったのでしょうが、プロボノとの協働が実際に社員獲得に繋がったという例です。

YOKOHAMAchangemaker’sCAMPが直面している課題
プログラムの成果や地域への波及効果を、もっとたくさんの人に知ってもらわなくてはという問題意識を持っています。成果を可視化し、YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPの場をもっと活用してもらう努力を行いたいです。
また、専属コーディネーターが伴走で走るという手厚いハンズオン支援のプログラムの性質上、どうしても少人数の起業家を対象とせざるを得ない点も課題だと思っています。特に後半のハンズオン支援では8名が限界です。何か工夫できないかと思っています。
3番目は、横浜市の委託事業としてYOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPをやっていますが、どういう形で継続していけばいいのかというあたりは、今まさに横浜市と議論しています。企業スポンサーという形にしていくのか、それともクラウドファンディングと組んでやっていくのか等々様々な意見やアイデアがあります。
世田谷の皆さんのお話を伺っていると、私たちの試みや考え方とても近いものを感じます。地理的にも近いですし、今後も意見交換をしながら、キラ星部門のチャレンジから生まれる生態系づくり、応援する人とチャレンジする人がともにこの地域を盛り上げていくことを目標に、一緒に成長していければと思っています。

■ショートプレゼンテーション 新部門の現時点での組み立てについて

次に、ファンド運営委員、そして本日のナビゲーターである水谷衣里さんより、キラ星応援コミュニティ部門についてショートプレゼンテーションがありました。
プレゼンテーションでは、私たちも世田谷でチャレンジャーを応援する生態系づくりをしたいと考えていること、その最初の一歩として新部門を捉えていることが説明されました。
また応援コミュニティをつくるにあたって大切にしたいこととして、①皆さんにお願いするというより、一緒にやりませんか、というボールを投げたい、②社会課題に気づき、すでに動き始めている方々へのリスペクトを持ちながら、支える側も一緒に成長する、というスタンスでキラ星部門を運営してゆきたい、という意見が表明されました。また現時点での新部門の制度設計についても、説明がありました。

■ゲストトーク
ETIC.横浜ブランチの田中さんと、ナビゲーター役の水谷さんとのトークセッションを行い、互いの取り組みについて深め合いました。

<ナビゲーターとゲストとのトーク>
(水谷)
キラ星部門立ち上げの構想について、率直な印象をお聞かせいただけますか?
(田中さん)
とても面白いですね。進める際には、プロボノの方と一緒にコミュニティを作る場合の、主催者側のスタンスがポイントになると感じました。水谷さんからのお話にあったように、プロボノが、上から目線でなくて実践者へのリスペクトを持つことが大事だなと思っています。
世田谷ではメンターは3名くらいとのこと。助成期間とプロボノの伴走期間はどのくらいを考えていますか?
(水谷)助成期間は単年度、最長2年間です。メンターは引き受けたらその年度は責任もって取り組んで頂きたいと考えています。2年目に入るタイミングで再度申請を頂きますし、取り組む課題が変われば必要な支援内容も変わるので、そのタイミングでもう一度メンバー構成を考えられれば良いですね。
(田中さん)
YOKOHAMA changemaker’s CAMPの場合は3か月の期間限定です。長期間、モチベーションを維持するには工夫も必要です。メンターがどういうスタンスでどういう関わり方をするのかに関心があります。
(水谷)
私自身は、ETIC.さんが事務局をされている「社会起業塾」のコーディネーターをここ数年お引き受けしています。社会起業塾の場合は伴走期間は8カ月で、これはそれなりに長いです。負荷もありますし、何よりメンターと起業家という関係だけだと行き詰まることもあります。そこでキラ星応援コミュニティ部門でも、集合研修や合同メンタリングといった課題を共有する時間を途中で持ちたいと考えています。
(田中さん)
短い期間に集中的に行うと、最初のモチベーションを維持したまま最後まで突っ走ることはできます。しかしそれはリサーチなど、何らかのターゲットに絞っているからできるという側面もあります。リサーチの場合、事業全体を共に考える社会起業中に比べて、プロボノの事業への関わりは限定的です。キラ星応援コミュニティ部門は、より総合的に動いていく人をイメージされてるのかなと思います。
(水谷)
第2回ギャザリングではあいちコミュニティ財団の例をお聞きしました。木村さんからは「課題の深堀りファンド」の紹介を受けましたが、同事業は半年、リサーチに集中すると聞いています。
キラ星応援コミュニティ部門は、事業そのものを見直していくことも含まれています。そうすると逆に考える期間は足りない可能性もあります。やり方を間違えると、メンター自体が団体の課題を理解するところで期間が終了してしまうこともあると思っています。

■グループワーク
ゲストの田中さんからのトークと、ナビゲーターの水谷さんからのインプットを踏まえて、横浜の取り組みや学びを世田谷での取り組みにどう活かしていけそうか、グループに分かれて話し合いました。グループワークでは、6人程度を1チームとし、15分程度ディスカッションを行った後、会場でシェアを行いました。

<グループワークの様子>

■全体共有の時間です。
<グループ1>

・VBMは面白いし世田谷でもぜひ取り入れるべきではないか。ボードメンバーはどういう人が入っているのか?
・ETIC.横浜ブランチは横浜市役所からの受託事業だと聞いてなるほどと思った。でも世田谷の取り組みは運営側もボランティアで行うことになる。ここは大きく異なると思った。

<グループ2>

・社会起業家を育てるという、メンターの方自身も目標を持っていると感じた。世田谷はどう目標を共有していけばいいか、考える必要があると思った。
・メンターの質・意志が大事になると思った。横浜ではどのように募っているのか?また世田谷ではどう募ってゆくのか。
・横浜の場合、メンターどうしの交流はあるのか?活動団体側の意見も聞くことを想定しているのか?
・世田谷の住民層を認識すると、応援コミュニティなどは活性化するのではないか?

<グループ3>

・支援を必要とする人たちには多様なニーズがあると思う。そのニーズに対応するメンターを横浜ではどう集めているのか聞きたい。
・委託する横浜市はどういう役割を担っているのか?

<グループ4>

・世田谷の新部門については、キラ星の定義やどういう活動、どういう団体をイメージしているのだろうか?という疑問が出た。またメンターはどんな人が担うのかももっと知りたい。
・助成先となる「キラ星」の変化をどう捉えて、サポートしていくのか?

・世田谷には大学も多い。ETIC.のインターンシップのように、学生の力を取り入れるべきではないか?
・横浜の例について、プロボノの人材どう集めているのかを知りたい。また応援する側が上から目線にならずに応援し続けるためのコツを知りたい。
・メンターは起業家が多いのか?

■皆さんと共有したことについて、田中さん、水谷さんのトーク

●VBMについて
(田中さん)
VBMには、中小企業の経営者や、先輩の社会起業家をお呼びしますが、時にはある地域課題に精通した市の職員などにも参加して頂くこともあります。メンターには毎回出席して前回までの議論をシェアする方と、アジェンダに合わせて流動的に参加される方の両方がいます。
(水谷)
事業経歴がある人もいるけど、ちょっと先を走っている先輩起業家も入ってくる、多様性があるイメージですね。社会起業塾の卒業生やYOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMP参加者など、もともとは支援を受ける側だった人が支援する側に立場が変わる例もあるのがユニークです。NPO法人ETIC.が20年積み重ねてきた実践の結果を活かしながら、横浜での実践を行われているのだと思います。
(田中さん)
VBMを繰り返している期間中、YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPのメンバーだけで集まり、相互にフィードバックも行っています。メンターからの集中砲火を浴びて頭が真っ白になったり、一人のメンターに影響を受けてぶれたりすると、起業家どうしでフィードバックし合って冷静な頭に戻るよう促しています。
(水谷)
VBMの開催を社会起業塾で実際にお手伝いしていますが、起業家が緊張し、VBMの冒頭で言われたことで頭が真っ白になるケースもあります。そういった時にフォローするのがコーディネーターですね。チャレンジしている人を単に集中砲火に晒すのではなく、コーディネーターがきめ細かくフォローするという点も大切かなと思います。

●どんな起業家が応募しているのか?市はどう協力しているのか
(田中さん)
YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPに参加する起業家は、運営していている組織の法人格などは問うていません。地域課題をビジネスを通じて解決していきたい人を募集しています。長く地域に根ざしたまちづくりを行ってきた団体や、ビジネス的な要素の薄い市民団体が、今後も事業を継続したいと考え挑戦する例もあります。横浜市としては、そういう団体が成長し、地域課題を解決しながら、税金を納めるくらいに成長して欲しいと考えているのだと思います。
また取り組む社会課題に関係する横浜市役所内の担当課に問い合わせ、その課題を一緒に考えてくれる行政マンを探すこともあります。そういう出会いは起業家にとってとても貴重です。

●メンターの発掘方法
(水谷)
メンターの発掘はどのように行われていますか?メンターをお願いするのは、支援先が決まってからでしょうか?
(田中さん)インターンの受け入れをしている企業や、すばらしい活動をしている情報があれば話に行ったり。その分野に明るい方は誰なのかをリサーチして、話に行ったり、私たち事務局が積極的に動いています。起業家が自分でお願いするケースもあります。
(水谷さん)
ETIC.横浜ブランチさんが割に積極的に動かれているんですね。
世田谷の場合、私たち運営委員は完全に無給で、ボランティアとして今回の新部門に関わっているので、市からの委託事業を行われているETIC.さんのように人件費を割いて人を当てる、ということは難しいんですよね。どこまでできるだろうか、ということは運営委員の中でも常に話題に出ています。
また、そういった事情とは別に、メンターとなる人を起業家が自分で探したり、人から紹介されたにせよ自分で会いに行くなどコミュニケーションをとって、メンターになってもらえないか自分で交渉したほうが、その人や組織が成長するという側面もあります。

●横浜市の関わりについて
(田中さん)
YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPの場合、採択されても起業家には助成金などのお金は出ません。YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPの参加は無料です。横浜市から委託事業として運営していますが、市からは1年間で8件の起業家をサポートするよう委託を受けています。
(水谷)やはりそこは大きく異なりますね。横浜のケースは団体に渡す助成金は無いけれど、運営側であるETIC.さんは業務として委託を受け、人件費や事業運営費を有している。一方世田谷のキラ星応援コミュニティ部門の場合は、採択先に対して助成金は出せるけれど、運営している側は手弁当で行わなければならない。正反対なんです。
(田中さん)
横浜市からは単年度で委託を受けています。ですので来年も継続できる保証はいつも無い。YOKOHAMA CHANGEMAKER’S CAMPについては、支援先となる起業家の方から参加費を取る、というモデルも考えられますが、高額な対価は取れない。
(水谷)
対価を取ったり、寄付を募るという動きは必要ですよね。世田谷でも、応援してくださる企業スポンサーを探したいという話も出ています。
公益信託終了後、新しいファンドを設立したいと思うならば、関係性を創りながら将来を見据えてファンドレイジング力をつけていく必要はありますね。

■話は尽きず、いったんここで〆て、お菓子や飲み物を飲みながら車座トークに移りました。

<交流会では参加者皆さんでテーブルを囲んでディスカッション>

●会場からのQ:キラ星部門の定義は?メンターはどんな人?
(水谷)地域に根ざした活動を続けたい意思のある人、応援しがいのある成長意欲のある人、と考えています。第1回ギャザリングにお呼びしたSVP東京しかり、今日のETIC.さんしかり、プロボノやメンターといった制度を有する仕組みは少しずつですが増加しています。その中で、キラ星はどういう特色を持っているのか。それは世田谷まちづくりファンドが培ってきた資源やネットワークを生かす、という点があるのではないかと思っています。

●Q:今までのまちづくりファンドの助成団体とキラ星の助成団体は違うということ?それともこれまでの助成団体の中にもあった?新しい団体を探そうとしていますか?
(水谷)あったと思うし、その中から出てくれたらこんなに嬉しいことはないですね。
(関口)部門をつくってもニーズがあるのかどうかリサーチはしてみました。

<互いの意見に真剣に耳を傾け合う>

●Q:助成するのを選ぶ側、20年後の世田谷がどうなってほしいかを描く必要があるのでは?
(首藤)行政だけが未来の絵姿を描くと言うことは無いと思います。「子どもが輝く参加と協働のまち」が世田谷の基本構想だけれど、行政の軸とは違う市民の軸を持つことは大切なことだと思います。
20年先社会がどうなっているのか自分は全く予測できないけれど、プレイパークの実践を踏まえると、市民が動き始めて、20年が経ってやっと行政が動く、なんてこともあるのではないかと実感しています。

●Q公的なお金を使うことになるうと思うが、選定基準はどうなるのか?
(関口)
メンターシステムやキラ星応援サポーターは、世田谷まちづくりファンドのしくみの枠外です。ファンドは設立された20年になります。最初のコンセプトは「まちづくりの市民参加」でした。また純粋に税金による公的資金で設置されたファンドではなく、民間からの寄付も入っています。
(水谷)
まちづくりファンドは公益信託という形式を採っています。公益信託世田谷まちづくりファンドでは、10人の運営委員が助成先を審査するという構造が決められています。
今後、公益信託終了後にもし市民コミュニティ財団のようなものを創るとなれば、寄付そのものが意思表示になります。そうなれば、お金の出し先は市民が決めることになるだろうけれど、現行の公益信託世田谷まちづくりファンドでは、そういう仕組みにはなっていません。
公益信託世田谷まちづくりファンドが終了するまで、約7年間の猶予があります。その間に社会も変わるでしょうし、市民ファンドのあり方もきっとたくさんの変化を経験するのだと思っています。

Q:メンターの選び方は?
(田中さん)
プロボノ説明会などやっています。支援団体が決まってから、プロボノに期待すること、メンターに期待することは話し合いながら3,4カ月でどこまで行けそうかということも含め、考えます。

<場が終盤に近付くにつれ、次々に前向きな意見が>
(会場からの意見)
横浜のシステムはプロボノ役割が明確ですし、田中さんたち運営側にお金が投入されていて、責任持って運営されている。一方世田谷は運営側もボランティアである点が少し不安です。
(会場からの意見)
世田谷は地域活動的な方と、世田谷工業振興協会、商店連合会などの交流が少ない。商業関係の方の知恵も借りられればなおいい。
(水谷)
多くの地域で悩んでいることだと思います。産業支援的な側面から実績のある方と繋がりを持てたり、そういう方と出会える機会があると良いかもしれません。
(会場からの意見)
メンターを集め、マッチングさせる組織体がファンドの中になくてはならない。また運営側が運営資金をファンドレイジングする機能が必要ではないか?
企業のスポンサーをもとめて我々自身がイベントをやるなどしてはどうか?そのために、運営チームという今の任意団体的な組織から、一般社団法人や一般財団法人などになることが必要なのではないか?
(水谷)
新部門の設立を通じて、現在の公益信託という仕組みから、新しくテイクオフする前段階を踏んでいると考えています。そうした組織は将来的にどこかの段階で考えることになるかもしれません。

<尽きることない意見交換>

■おわりに
プログラムが終了し、交流会に入っても活発な意見交換は留まるところを知らず、キラ星部門を盛り上げていこう、という空気感が確実に醸成されていった第3回ギャザリングでした。
車座トークでは参加者それぞれの立場から積極的な意見が続出し、当事者の一人として、キラ星部門を、そして世田谷の地域課題にどうコミットしていけるか、真剣かつ前向きな場になりました。

<交流会の最後まで残っていた皆さん全員で記念撮影>

■ギャザリング恒例、ひとことメッセージです。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!




(参考リンク)http://www.setagaya-fund.net/archives/180

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