REPORT (CATALYST BA)

[report]EDGE TOKYO DRINKS 05 『テクノロジーとアートの行方 〜未来を生み出すクリエイション〜』

分野    

Post : 2013.05.21
Permalink : https://catalyst-ba.com/archives/1469

EDGE TOKYO DRINKS
co-lab渋谷アトリエにあるFabLab Shibuyaでともに活動されている、久保田晃弘氏をゲストに、梅澤陽明氏をモデレータに迎えて開催されたEDGE TOKYO DRINKS 05は、まるで大学の講義のような感じで、非常に多岐にわたる話題や視点で、テクノロジーやアート、教育のことについて語っていただきました。

EDGE TOKYO DRINKS

梅澤:今日は講義形式で10年後の未来を語っていきたいと思います。

(FabLabについて)
久保田:2010−11年辺りからFabLab Japanという組織を田中浩也さん中心に進めてきて、そのひとつとしてFabLab Shibuyaを立ち上げました。
FabLabにはスタンドアローン型とプラグイン型があるのですが、都会でファブラボをどうやったら良いのかと考えたときに、colabというシェアオフィスで工房を持ちたいという話がありました。
みんなで働くというムーブメントと、みんなでつくるというムーブメントがうまく繋がっていくタイプのFabLabができないかなと考え、それでプラグイン型のFabLab Shibuyaが誕生しました。
それでは最初にファブラボがなぜあるかということを紹介します。現在からはじまって、過去、未来というふうに進んでいきたいと思います。

梅澤:FabLabにはさまざまな工作機械が置いてあって、それを使ってものをつくれる人が常駐しています。
来た人とコミュニケーションをとりながら新しいものづくりや実験ができるという、つくるための公共施設であり、人と人が繋がる場としても機能しています。
FabLabは世界に200カ所以上あって、推奨される設備があり、同じデータを使って世界中でモノを作ることができます。
インターネットによるオンライン環境と合わせて、手を動かしたり機械を使って面白いことをやっていきたいという、社会的なインフラの基礎となるものだと思います。
大量消費型の現在のものづくりから、テクノロジーの進化に伴って使い手がものをつくりやすい環境になってきたともいえます。

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(自身のバックグラウンドについて)
久保田:ここ10年くらいは大きく3つのことをやっています。
ひとつはサウンド(音)、もうひとつがバイオ(生命)、それとアートサット(衛星/宇宙)です。

元々工学部の船舶工学科で、ネイバルアーキテクチャというんですが、船のつくり方を教わっていました。
大学院では船のスクリュープロペラの研究をしていて、高速でスクリューが回転するので、水が沸点以下になって気泡ができる。
気化した泡がつぶれるときに音が発生するんですが、スクリューのパターンによって音の消え方が変わってくる。
その違いはスペクトル解析でもわかるんですが、人間の耳で聴いてもわかります。
そういう研究をやっていて、僕のバックグラウンドにはエンジニアリングがあります。
その後、人工物工学研究センターにて、設計とデザインは似ているようでちがうようだということに気づきました。
エンジニアリングでいう設計というのは、最適化や安全性や信頼性をベースにしたものづくりであり、カタカナでいうところのデザインでは、いわゆる美しものや心地よさをベースにしたものづくりをしている。
1998年からは多摩美術大学に情報デザイン学科ができ、そこで仕事をすることになりました。
そこでアートとかデザイン、エンジニアリング、テクノロジーといったところを行ったり来たりしながら、いくつかのプロジェクトを進めてきたのが、この10〜15年のことです。
そしてこれからどういうことを若い人に教えていくか、大学で実践していくかということはすごく重要なことなので、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

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(3Dプリンタなどのテクノロジーについて)
FabLabでは3Dプリンタやレーザーカッターが、代名詞のように考えられていますが、3Dプリンタは決して新しい技術ではなく、90年代はじめから使われていました。
当時はじめて出会ったのは東京大学の人工物工学研究センターにあったものです。
これからのものづくりを考えようというとき、そこで言われていたのはポスト大量生産ということで、社会の動きや環境問題とも連動していた。
こうしたラピッドマニュファクチャリングが着目され、バーチャルリアリティ、テレイグジスタンスなど、インタラクティブなCGIといもいうべきものが研究されていた。
CADシステムに職人の知識を組み合わせることで、より効率的な設計ができるようなインテリジェントCADなどの研究もしていた。
そして、ここがアートとテクノロジーとのコラボレーションの出発点であった。

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(ヒストリー)
僕は1960年生まれですが、ちょうどコンピュータに代表されるデジタルテクノロジーの過渡期に生きてきたと思います。
小学校のときは真空管ラジオをつくっていました。(誠文堂新光社)
中学校のときにトランジスタラジオになりました。(マイキットとか電子ブロック)
高校のときにこれがICになりました。(ワンボードマイコン、NEC TK80)
そして大学にいくとLSI、マイクロコントローラといったものになります。(PC8001、MZ80)
人工物工学研究センターのときはまだPC-98をメインの解析に使っていましたが、そういう時代を経たおかげで、段階を追って知ることができた。

こういった技術の進化が、FabLab/Makersのムーブメントとして、やってきているというのを実感している。
3Dプリンタの技術は新しいものではないが、今の時代はそれが10万円を切る値段で手に入るようになった。
コンピュータで同じようなことが起きたのが、僕が大学生の頃だったが、それまでに受けたプログラム教育というのが役に立った。
そして値段が安くなることによって、ホビイストがでてきて、絵を描いてみようといったことがおきる。
そこで起きていることがテクノロジーとアートやデザインの交流で、そこからDTPやDTMへと繋がっていく。
ファブラボの起っていることをみると、いよいよ同じことが3Dプリンタやレーザー加工機に起きたということは、自分が大学の当時にわくわくしたことが、もう一度体験できると思っている。
マイクロコンピュ―タによるプログラムのパーソナル化、WWWによるインターネットのパーソナル化、そして3Dプリンタやレーザー加工機がパーソナル化して社会的なムーブメントになっている。
いかにしてアートとかデザインとか文化の繋がりを起していくか、そういう場に参加してそのいちメンバーとしてやっていきたいというのが、FabLabの重要な原動力になっている。

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(質問1)
ファブリケーションの次というのは何か実感されていますか?

久保田:70年代にコンピュータアートをやったひとたちは、アートなんて出来る分けないと言われていたが、でも今ではどこの美大でもコンピュータを教えている。
そこで当時のコンピュータアートにあたるものは何かと考えたとき、今僕が取り組んでいるバイオアートとARTSATという生命や宇宙のこと、ということになる。
大学で教えていて思うのは、どうしても日常のもの、プロダクトデザインなら携帯や自動車、建築なら家やファッションというものに寄りがち。
バイオでいうと人工臓器だったり、デザインとアートの観点からみるともっともっとチャレンジすべき造詣やデザインすべきものがあるはずで。
よく学生に言うのは、これから食と医療ものすごく重要なテーマになるということ。これから高齢化社会がやってくる中で、クオリティオブライフをどう担保するのか、大事になってくる。

ARTSATは僕の母校と勤務校との夢のコラボレーションなんですけど、キューブサットという世界最小の衛星を打ち上げようとしている。
これまでは専門家が大型のロケットを打ち上げて探査をするという、それはハイエンドな宇宙開発として大事なんですが、いまはDIY的なパーソナルなものになっている。
2003年に大学の研究室が打ち上げたというニュースを聞いて素朴に驚いた。大学の研究室でも人工衛星を打ち上げることができる時代になったんだと。
それはコンピュータを個人でもてるようになった、ネットワークにだれでもアクセスできるようになったということと、非常に近い感覚だった。
いろんな縁があって、多摩美と東京大学の学生でコラボレーションしながら一緒に人工衛星をつくっている。
そうしたことがやがてアートやデザインという分野と密接に絡んで、ライトなテクノロジーだからこそできる多様な文化というのが実現するよいかなと思う。

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(質問2)
FabLabが普及したら1点ものだから高いということはなくなるのか

久保田:1点モノを1個作るのと、10個つくるのは単に10倍になるだけです。時間も素材も10倍になる。
逆に言うとスケールメリットがなくなるということで。金型を作れば安く大量につくれる訳です。
折中のやり方というのがあって、3Dプリンタのような、ラピッド・マニュファクチャリングで金型を作れればそれを使って大量生産ができる。
大量生産よりコストが安くなることはないと思うが、1点ものを作る敷居は明らかに下がりました。
そこから先は価値の問題。大量生産の中で作られる必要のあるものものあるが、もっと思い出や大事にしたいもの、美しいものを作る時にこそ、3Dプリンタのような技術が役立つと思う。

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(質問3)
コンピュータはともに考えるという意味を持っているが、インターネットを通じて同じ場所にいなくても良くなっていて、そこのファブリケーションが加わると、これからどう融合していくのでしょうか。

久保田:どこにいなくてもいいということで大きく変わろうとしているのは、教育の場面です。
オンラインコースウェアでいろいろなところで大学が授業を公開している。
98年に東京大学から多摩美にうつる背景にあったのは、インターネットによってアカデミズムの価値がすごく変わったというのがある。
これまでかなりクローズドな情報だった論文に、だれでもアクセス出来るようになると、独学とか自習が圧倒的にやりやすくなる。
いままで学会は特別な場だったのが、学会に行かなくてもアクセス出来るとなると、研究をするというインフラがこれがどう変わっていくのかというのがすごく気になるところ。

コンピュータについては、自分にとってそれがリアルな経験に感じるような教育をうけてきた。
今の若い人はそうした経験をちがうもので受けると思うが、リアルな経験を何で実現出来るかというのはすごく大事なこと。
バイオや宇宙といった分野がどんどん専門から民間におりてきて、自分で扱える過程を知るというは同じように重要なことで。
そうした先々役に立つ経験を、教育がどうやって与えられるかということは、いつの時代でも考えたいと思っている。

もうひとつはR&Dに関して。
僕は本質的にモダニストなので、常に新しいことにチャレンジしていくということは大事だと思っている。
大学の研究や開発をこれからどうやって起こしていくか。
特にco-labやFabLabが良い例で小さいグループで動く時に、研究は楽になったというより、難しいことが多い。
新しいことをやろうとすると、大きな施設や機器、知識やリソースが必要になってくる。
うまくいくかどうかわからないことをやるのがR&Dなので、うまくいかないのが当たり前なのだが。
これからの時代そのムダを社会の中で一体だれがどうやって負担していくのか、まじめに考えないといけない。
日本ではソーシャルにR&Dをやるシステムを作っていくことが、将来を考えていくときに重要になってくる。
社会全体、街全体としてそういう機能をもつようになると良いのではないだろうか。

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(美大へと移ったことについて/サウンドアートについて)
コンピュータやプログラム、デバイスを教えるにはどうしたら良いか、というところで美大に呼ばれたんですが、その時に2流の工学部にするな、と強く言われました。
ただ知っている工学部の知識を教えてもしょうがない、一流の美大だからそこで出来る教育を考えろと。
そこで当時起っていたような「デザインバイナンバーズ」という動きや、小さなマイクロコントローラのようなものをやりはじめた。

その一方で、こどもの頃からピアノを弾いたこともあって、当時クラブで演奏したりしていて、それは研究とは関係なくやっていました。
サウンドアートをはじめたのは、1996年 Machintosh PowerBookG3というのが出たときでした。
音楽がコンピュータの発展とシンクロして、DSPというリアルタイムの音響処理がラップトップで出来るようになったことが、コンピュータ音楽のターニングポイントとなった。

いままで別々だったものがくっつくときにイノベーションがおきると思っていて。
たとえば3Dプリンタの例で言うと「情報と物質(ビットとアトム)」そして「素材と加工」が一体化するということですが、それが音楽でも起きたということ。
そしていろいろな分野ができてくるとそこに隙間や間隙ができてくる。
そこにイノベーションがあるというのが、僕にとっては活動原理みたいなもので、それを求めて20年になります。

MIDIは五線譜をデジタル化する技術だったのが、DSPではすべての音はサイン派の合成であるなど、音そのものを合成するという。
TONEを作ることとHARMONYを作ることは、ほんとうは同じで、これを一体化することができるようになって、さらに時間が伸縮することでリズムもコントロールすることができた。
これはフーリエ変換、スペクトル解析によって、周波数をコントロールすることで可能になった技術です。
ここからサウンドアートを美大でやるようになりました。

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(質問4)
総合的な技術ができることによって、少量生産、ショートタームマニュファクチャリングが出来るようになったと思います。
そしてそのゴールがどこにあるのかと考えたとき、100%消費ということがひとつ面白いチャレンジではないかと思ったのですが、いかがでしょうか?

設計科学というのをやっていましたが、そこではきちっとした仕様を決めると、それにしたがって製品ができる。
あとはたくさんコピーするだけ、ということをやっていました。『設計=最適化』ということです。
もしここが変わらなければ、100%消費ということはある程度可能だと思います。

その後90年代後半にサンフランシスコで新しいデザイン教育がはじまりました。
『曖昧な仕様→曖昧な製品』というプロトタイピングを繰り返すことで、フィードバックループとしての設計が当たり前になってきた。
つまり常に変更出来るデザイン。今までは完全なものを作って引き渡したら、とりあえず保証期間内にメンテナンスをするということを目指してきました。
今後はむしろ最初から完全なものではなく、成長する製品を作って自ら修復、成長させていく。それが少量生産のイメージです。
いろいろなものを自分で直せる環境がもっと安くて身近になれば、良いものを永く使うという文化はやってくると思う。
そうした環境のために3Dプリンタを使えば良いし、3Dプリンタはそれを社会で実現するためのインフラだと思っています。

(質問5)
バイオのどういうところに魅力を感じていますか?
エンジニアリングでも生命にならっていくということがあると思いますが。

DNAはデジタルデータなんだと思ったことがあった。
ATGCという2ビットのデータが30億集まって人間の染色体ができているという。
そうしたデータからタンパク質をつかって細胞を作る3Dプリンタのようなものが人間なのだと気づきました。

そしてもうひとつは合成生物学(Synthetic Biology)。
遺伝子組み換えというのは遺伝子のサンプリングと同じことだけど、合成生物学というのは1からDNAがつくれないかという研究。
長いDNAの合成技術、そしてリポソームという膜構造を作れるか、情報をいれて機能させられるか?
そうすると生命とは何かという問題に当たる。そしてこれはもう科学では扱えないということになる。
死の定義をするとき、それが何を意味しているかというと、それは哲学の問題になってくる。

もうひとつメタファーの転換というのがあって。
これまで人工のものは自然を模倣していたようなところがあった。
いまはどんどん自然がコントロールされていて、一方で人工のものは、例えば株価のように、コントロール出来なくなっている。

このようにひっくり返ったり、ハイブリッドであるというころなどが、僕がバイオを考える背景にあって、常に興味をもっているところです。

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(バイオアートについて)
具体的にバイオのことをお話すると、BIOART展というのをやりました。
そこでは何故アートなのか、デザインなのかということがあるとお思いますが。
例えばセクショナライズされているということをお話しましたが、アートの良いところは、その名のもとに何を使っても良いというところです。
心理学でも哲学でも化学でも工学でも。

例えば彫刻や絵画の素材として、細胞という勝手に増殖するものが使われると美学的にどうなるか。
金魚や盆栽など伝統的なバイオアートを捉え直してみたり。
またインターフェイスとしての生物を考えてみるなど。
様々な視点で生命との関わりを考えることが、アートやデザインを通して共有することができます。

奇しくもバイオアートをはじめて、また福島の原発事故が起って、結局どちらもDNAなんですね。
そして『23&me』のようなサイトでDNAの情報を読めるような時代でもあり、また福島の事故でDNAそのものが損傷するような時代でもあるという。
こうした問題の錯綜の仕方というのはどんどん複雑になっていて、これからはいろいろな分野の人がコラボレーションしていくことが重要になってくるのだと思います。

(質問6)
これまで高価な設備がないとできないようなことが、個人レベルで出来る時代がやってくるというのが興味深く思いました。
そうした場合に、知識を持っている人と、持っていない人の格差がすごく開くと思いますが、どうお考えですか?

問題なのは、出来るか出来ないかではなく、知っているか知らないか。
今は情報の洪水で、逆に届いている情報が限られているという状況があると思う。
教育と研究においては、どうやってそうした知識を共有していくか、というシステムを作っていかないといけない。
そしていろいろな視点から物事を議論していく時代が来てほしいと思っています。
今はまだ、一人でも多くの人に知ってもらって議論出来る、そういう場を作っていくという段階だと思っています。
そしてプログラムや3Dプリンタを教えることが重要ではなく、それを使って何ができるか、なぜそれが必要かを教えていかないといけない。

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(ARTSATプロジェクトについて)
今いちばん力を入れているプロジェクトが、アートサットという衛星芸術プロジェクトです。
キューブサットのプロジェクトというのは実はもう10年経っていて、民政部品で作った学生の衛星が10年経ってまだ動いているといのは、個人的には驚きです。
だからそういうものの意味を考えたいなと思っています。

僕らはキューブサット(10cm立方のキューブ)のままで何ができるかということを探求しようと思っています。
そして将来DIYで衛星を作れるようになったとき、宇宙と人間の関わりとか、宇宙開発に対するイメージがどう変わっていくかということを、このプロジェクトを通して考えられるんじゃないかと思います。その根底には、人間の可能性についての考察ということもあります。

ARTSATというのは『衛星芸術』という、芸術のために作る衛星を打ち上げようというプロジェクトです。
たとえば10cmのこのキューブサットは、地上から400kmでだいたい国際宇宙ステーションと同じ場所に放出される予定です。
90分で地球を1周するしますが、これは1秒間に8kmというものすごい速度で動いていることになります。
またここは熱圏といわれているところで、温度としてはものすごく高いが、そもそもの分子の量が少ないので、飛行士が外で活動しても大丈夫、という領域だそうです。
こうしたことを2010年のプロジェクト発足以降改めて勉強したのは、とても貴重な経験でした。

衛星を、宇宙と地上を結ぶメディアと考えた時に、それを使った新しいメディアアートが可能だろうか、というのがきっかけでした。
「INVADER」と名付けた芸術衛星をつくっていますが、JAXAのひとに聞いたら「芸術衛星」というのは聞いたことがないということだったので、じゃあやってみますと(笑)

つくり方はファブラボと非常に似ています。
これは部活としてやっているので、航空宇宙工学科以外にも電気や機械やいろいろな学部の学生が参加していて、非常によかった。
モットーはみんなの衛星。アルディーノというオープンソースハードウェアのボードを積んで、みんなの作ったプログラムを宇宙で動かしたいという目標があります。
このボードはモリカワという名前で、東大にある料理やの名前からとったんですが、よくここで議論しているんです。
11月のシッピングの前にハッカソンのようなイベントを開いて、みんなでプログラムを書くようなことをができればいいなとも思っています。
あともうひとつはアマチュア無線の人とやっていて、衛星からの電波を自分の八木アンテナで受けて、データを手元で解析できるという。
そういうひとつひとつの衛星とメディアに関わるものを、プロセッシングやアルディーノなど、ファブ/メイカーレベルに何とかして繋げられないかな、というのがこのプロジェクトのポイントでもあります。衛星データの受信はだれでもできるので、自分でデコードできたとか、動いたっていう、そういう感動を得られたら良いと思っています。

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さらにARTSAT APIというプロジェクトでは、衛星から受けたデータをスマートフォンなどで受けられるように、分かりやすいインターフェイスを作ろうとしています。
それに先だって「感じる衛星」ということで、ARTSAT INTRODUCTIONという展示を昨年1年間ICCで展示しました。
異分野の人が最初から議論するということが大事だと思っていて、その結果、衛星が出来る前から衛星をつかった展示をするという。
これはシュミレーションデータを使ってARTSAT APIで公開していて、衛星からのデータを使ってどういうビジュアル表現ができるかということを展示しています。
芸術衛星には特にミッションがないんです。だからテレメトリーデータから素朴に温度を教えてほしいとか、ジャイロの姿勢をおしえてほしいなど、自分があたかも衛星の気持ちになって感じるということを前提として作品をつくりました。自分の分身として地球の周りをまわっている衛星がいて、自分の代わりにプログラムを実行してくれたりする。こういうことができると、みんなで衛星に対するビジョンを共有できるようになると思います。

衛星の筐体に関していうと、機械工学科の人が中心となって、3Dプリンタを活用してながら、美しい衛星を作っていこうとしています。
放出したら見えなくなるんだけど、心の中で美しいものを作ったという気持ちで作っていきたいというこだわりがあります。

宇宙と地上でのいちばんのネックになるのは通信なんです。
アマチュア無線でやっていると、1日4回10分程度しか見ることができない。データにして11キロバイトのスモールデータなんです。
だからこそアートを使う意味があって、表現を凝縮して想像力を発動させるということができるのです。
たくさんのデータから統計を取るようなことは科学の仕事ですが、少ないデータからでも豊かな想像へと繋げるのがアートなのです。
そうしたスモールデータを利用して、素朴な日常の中に宇宙の気配をちりばめていく、OPEN APIという宇宙データの使い方についてプロジェクトも進んでいます。

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こうしたプロジェクトを通して考えるのは、若い人が身近なことに完結しがちなことがもったいないということです。
宇宙にはまだまだ行けないけど、想像することはできる。だからもっと遠くを見ることがとても大事です。
そしてやはり教育のことへともどっていきますが、教育は貯金のようなものだと思っています。
勉強は今辛いかもしれないが、貯金をすればもって大きくなってもどってくるかもしれない。
遠くを見ることによって、いま想像しているよりも、もっとすごいことが出来るかもしれない。
だからいま貯金しようと。いまできることだけでなく、できないことも想像していこう、というのが教育にとってとても大切なのです。
そして、僕自身ももっと遠くを見ていかないといけないと思っています。

[カタリストBA主任/ナカヤス]

(以下、告知情報)
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EDGE TOKYO(エッジトーキョー)はカタリストBAが主催、co-lab二子玉川が企画協力をしているトークセッションをメインとしたイベントです。5回目となるEDGE TOKYO DRINKSは6月7日(金)に開催。テクノロジーとアートがテーマです。

テーマ:テクノロジーとアートの行方 〜未来を生み出すクリエイション〜
現代における様々なテクノロジーの進歩は、そのスピード故に我々の生活状況を数年単位でシフトさせているようにも見えます。こうしたテクノロジーが、真に有意義なパラダイムシフトへと繋がり、我々の未来を大きく変えるような強力な発展を遂げるためには、テクノロジーだけでなく、アートとの優れた融合/共創が不可欠のように思えます。またそうした未来を作る新しい人材の育成もこれからの重要な課題となるでしょう。
今回はそうした最先端の技術とアートの分野を横断的に活躍されている、多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コースの教授であり、Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバーでもある久保田晃弘氏をゲストに迎えて、現在取組んでいる様々なプロジェクトの紹介とともに、テクノロジー、アート、教育といった切り口で語っていただきます。またモデレータには同じくFablab Shibuya/co-lab渋谷メンバーの梅澤陽明氏をお迎えします。
いま話題のメーカーズムーブメントが10年後どうなっているのか。本当に革新的なクリエイションへと向かうには何に注目するべきなのか。真に優れた人材をどう育てていくべきなのか。
テクノロジーとアートの可能性を最大限に活かすような、刺激的なアイデアを共有したいと思います。是非ご参加ください。

[久保田晃弘氏の関連プロジェクト]
 ARTSAT 衛星芸術プロジェクト http://artsat.jp/
 FabLab Shibuya  http://www.fablabshibuya.org/
 バイオアート http://bioart.jp/
 サウンド・パフォーマンス http://homepage2.nifty.com/~bota/
 ソーシャルマテリアル http://monofactory.nakadai.co.jp/

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【プロフィール】
久保田晃弘(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授/FabLab Shibuyaメンバー。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。衛星芸術(artsat.jp)、バイオアート(bioart.jp)、デジタル・ファブリケーション(fablabjapan.org)、ソーシャル・マテリアル (monofactory.nakadai.co.jp)、自作楽器によるサウンド・パフォーマンス (hemokosa.com) など、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。
近著に『Beyond Interaction —メディアアートのためのopenFrameworksプログラミング入門』(BNN新社、共著、2010)『FORM+CODE—デザイン/アート/建築における、かたちとコード』(BNN新社、監訳、2011)、『ビジュアル・コンプレキシティ―情報パターンのマッピンク』(BNN新社、監修、2012)、『ジェネラティブ・アート―Processingによる実践ガイド』(BNN新社、監訳、2012)『Handmade Electronic Music―手作り電子回路から生まれる音と音楽』(オライリー・ジャパン、監訳、2013)などがある。

梅澤陽明(ファブリケーター/Fablab Shibuya manager/co-lab渋谷メンバー)
1984年神奈川生まれ。FabLab Shibuya fabricator / Manager。 建設機械メーカー設計部を経て、FabLab Shibuya立ち上げから携わる。多様なデジタル/アナログツールが溢れる今日、「つくる」をより身近にする環境やしくみの構築を目論みながら、さまざまな企画を進行中。そのひとつとして、2012年より移動型工作工房「Faboo」プロジェクトをスタート。日本国内のみならず、東ティモールなどの国外への出張工房を実現させ、現地の人々と共にモノをつくる活動を始めている。
慶應義塾大学 SFC研究所 訪問研究員(2011.04-2013.03)
fablabshibuya.org

『EDGE TOKYO DRINKS 05』
■日 時:2013年6月7日(金) 19:30~22:30 開場19:00
■会 場:二子玉川ライズ・オフィス8F カタリストBA
■料 金:1,000円(1drink+food)
■出 演:久保田晃弘(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
■モデレータ:梅澤陽明(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
■定 員:100名(先着順、ご予約のお客様優先となります)

[予約方法]
 メールにて受付となります。
 下記アドレスに[お名前、所属、参加人数]をお知らせください。
 futako_entry@co-lab.jp 担当:佐中(さなか)/中安(なかやす)
 折り返しご予約確認のご連絡を差し上げます。

[会場へのアクセス]
 東急田園都市線/東急大井町線二子玉川駅より徒歩1分
 ライズオフィス8Fまでエレベーターまたはエスカレーターでお上がりください。
 地図はこちら→ https://catalyst-ba.com/access.html
 ※20時以降にお越しの場合は正面エントランスからお入りいただけません。
  受付までお電話ください(03-6362-3443)

主催:Catalyst BA
企画協力:co-lab [http://co-lab.jp/]

※当日はイベントの模様をUSTREAMにて中継する予定です
http://www.ustream.tv/channel/edge-tokyo
※これまでのEDGE TOKYOイベントの模様は以下でご覧いただけます
http://www.youtube.com/channel/UC9TTNtfSf-AISnRGvZm4ZFg

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