REPORT (CATALYST BA)

[report]EDGE TOKYO LABORATORY 音とアートをテーマにしたライブパフォーマンス&トークセッション

分野    

Post : 2012.12.18
Permalink : https://catalyst-ba.com/archives/1071

edge tokyo laboratory
東京の端(エッジ)から様々な発信と交換を行うためにスタートしたトークイベントシリーズ「EDGE TOKYO」
4回目を迎える今回は「日常の音」をテーマに、『EDGE TOKYO LABORATORY』と題して、より意識的に音を体験するための実験としての「サウンドアート」に注目しました。
梅田哲也蓮沼執太、ふたりのゲストアーティストによる円形スタジオを活かしたライブパフォーマンスとトークセッション。場の空気(音)が一変するような新鮮な音の実験に、100名を超える方にお越しいただきました。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

最初に梅田哲也によるパフォーマンスです
EDGE TOKYO LAB.
円形スタジオ中央に5台のテーブルが配置され、それぞれのテーブルにはアーティスト自作のガジェット(日用品を使った装置)が置かれています。
電熱器、空き缶、水槽、ラジオ、フィルムケース、プラカップ、タワシ、LEDライト、扇風機など。
EDGE TOKYO LAB.
これらの装置が電力やドライアイス、熱などの組み合わせによって、ある(予期せぬ)タイミングで何らかのアクションを起こすという。その結果発せられる音や光、影が周りの空間に作用して、空間全体(私たちのいる環境そのもの)が作品へとシフトしていきます。
EDGE TOKYO LAB.
梅田哲也自身はテーブルの間を行き来しながら、それぞれのガジェットにある操作を加えていきます。彼はあくまできっかけを与えるに過ぎず、そのタイミングでは何も起こりません。彼は淡々とテーブル間で作業を続けていきます。そのうちどこかの装置で突然あるいは俄に動きが生じ、音が発せられます。
本人曰くできるだけ少ないカロリーで、大きいコントラストをつけたいという欲求があると、後のトークで語っていました。まさに、ごく僅かな操作が思わぬインパクトを生む驚きがありました。
EDGE TOKYO LAB.
抽出される音は時にごく微かな物音であり、時に体全体を包むノイズになり、そうした音のレイヤーの中では否応なく意識が研ぎすまされるような状態になります。またアーティスト自身の手を離れた状態で、ひとつの現象としてアクションが勝手に現れるというのも、とても不思議な様相でした。
EDGE TOKYO LAB.
最後には円形の壁を自ら動かすことによって、地鳴りのような音、壁のぶつかる音が重なります。
いつも見慣れているワークスペースが、音の変化を伴って全く違う世界にも見えてくるという新鮮な体験。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

続いて蓮沼執太によるパフォーマンスです
EDGE TOKYO LAB.
『タイム』はおよそ1年ほど前に制作された舞台作品。毎回上演される場所や空間に合わせてアップデートされてきました。今回もリハーサルをしながらこの空間に合わせて作り込んでいて、照明、音響、映像、朗読、演奏、窓の外の夜景まで、様々な要素が重なり、変化に富む、多層的な構造の作品です。
EDGE TOKYO LAB.
はじまりはさりげなく、ウェブ上に公開されている過去の録音を再生するところからはじまりました。これから起ることに期待が膨らみます。
EDGE TOKYO LAB.
フランス語によるMCがそれに重なって、さらに女性の朗読がそれに続きます。壁には「タイム」のテキストも映し出されていきます。テキストと朗読される「ことば」のインパクトは強く、そこに含む意味や音の響きに想像力が刺激され、この辺りで一気に『タイム』の世界に引き込まれていきます。
EDGE TOKYO LAB.
YOU TUBEの動画がそのまま映しだされ、進行役のフランス人’ジャンフィー’がフランス語でコメントしていきます。こうした自身(の作品)を外在化するような要素をさらっと組み込む辺りは、新鮮で軽やかな印象を受けました。
EDGE TOKYO LAB.
楽器が加わり音楽が立ち上がると一気に密度が高くなり、背景の夜景もとても効果的で、非常に華やか。
EDGE TOKYO LAB.
そこから次第に3人による朗読(輪読?)へとシフトしていきました。
EDGE TOKYO LAB.
蓮沼執太ほか10人に及ぶ『タイム』チームによる演奏や演出が、音=時間を様々な位相で捉えることで、過去や現在、未来が折り重なって「今」「ここ」にしかない世界を作っていました。それも非常に軽やかに、楽しげに。我々はそんな場面に立ち合って共有しているのだという、そんな感覚を覚えた時間(タイム)でした。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ゲストによるトークセッション
EDGE TOKYO LAB.
今回の企画/コーディネートを一緒にしていただいた安永哲郎事務室の安永哲郎さんを交えて、3名でのトークセッションをしました。それぞれの作品の話から、音に対するこだわりまで、興味深い視点(聴点?)や人柄が伝わってくるセッションとなりました。

安永:今夜のパフォーマンスについて聞かせてください

蓮沼:(『タイム』について)
朗読/音楽/美術という舞台領域を超えたところで、60行の詩を1行1分で朗読していくというルールを作って構築していった作品。60行の詩は12個くらいのシーケンスに割って、それぞれの場面を任された役者や作家がそれぞれに作り込んでいった。蓮沼は全体の受け皿としての役割があったが、細かい演出などは行わなかった。

今回はじめて演出らしいことをして、テキストがどういう状態でこの場所にインストールされるかを考えてつくった。
ことばを皆にどう持ち帰ってもらえるか、ということも考えた。
また人間の声から音が生まれてくるということを意識しており、アンプを通した声と録音を混ぜたり、いろいろ試せると思った。

『タイム』はいつでもどこでもやれる作品だと思う。ずっと続けていける作品を作りたかった。

梅田:(今夜のパフォーマンスについて)
この場所を見て、円形の中心から音を回旋させるとおもしろいと思った。位相をかき混ぜるつもりで、壁を動かしたりもした。

ラジオからのホワイトノイズにアタック音をポイントとして重ねると、円形の反射がおもしろいのではないか。
そういった音響的な興味から組み立てているが、伝えたいのはそこではなく、小さい音に視点を集めたり、光や動きに注意を向けること。

もともと空間やその場所で何ができるかを考えることに楽しみを感じていた。
音は立ち上がってから消えていくまでのプロセスを見せるのが手っ取り早く、彫刻的に使える。
やっていくと視覚とか動きとか無関係ではなくなってくるので、どんどんよく分からなくなってくるのが面白い。

EDGE TOKYO LAB.

安永:現代美術と音楽の距離感について

梅田:
CDでいうとディスクが空間。
CDなり紙媒体なりその中でやれることを考えるので、この空間でやるのとそう変わらない。
制度とか制約とか条件を旨く利用して、仕組み自体を取り入れてやっていくのは、展覧会でも同じだと思う。

音楽が美術と距離があるのは、音楽が異質だから。
抽象絵画で震えることがあっても涙することってあまりないが、聴いたことのないものであっても、音楽には涙するくらい共鳴することがある。僕たちは日常の中で音楽を必要としていて、例えばちょっとだけ悲しいような気持ちに音楽が一番歩み寄りやすいのでは。

EDGE TOKYO LAB.

安永:普段、音を聴くことに何かこだわりはあるか?あるいは興味のあるポイントは?

梅田:
飛行機が飛んでくときに、飛行機と全く違う方向から音が聞こえてくるような時に、いちいち気になる。職業病みたいなもの。鳥がすごく小さいのに、大きい声を出すのはどうやってふるわせているのか、解剖したくなったり…。

蓮沼:
音楽と関係ないが、人が一つの場所に集まることに興味がある。それはいったいなんなんだろうと。
タイムはもみほぐしていくと、そういう要素が出てくると思う。なんでこの夜にきたんだろうという、そういうことをちゃんと考えていきたいと思う。 

職業病的なことでは、自分で作ってるトラックをあらゆる環境で聴いている。いろんなスピーカーや、車の中とか、鳴り方を比べたりしている。自分の音楽は、自由なところで聴いてもらうような多様性があって良いと思う。

EDGE TOKYO LAB.

会場からの質問:今夜のような作品において「音の調和」というのは、体でなんとなく感じているのか、それとも自分の中で方式や定義があるのか?

梅田:
譜面上の作曲とはまたちがうやり方があって、テーブルの上のどこにコップを置くかということにも音楽的な要素があると思う。
空間や場所/状況というのがはじめからあると、やれないこともたくさんあって、効果的なことが自ずと決まってくる。それに加え、できるだけ少ないカロリーで、大きいコントラストをつけたいという欲求があるので、そういったことで決めていくことがある。
また自分の意志と関係ないところで音が鳴ってほしいと思っていて、実際展示などでは自分は必要がない。ただこうしたパフォーマンスでは手持ち無沙汰になってしまうので、できるだけ僕を動かしてくれる不安定な要素を用意しておく。そうすると自分でやることができて良い。

蓮沼:
音の調和というのは当然考えてしまう。お客さんの今はどこに神経がいっているのだろう、という。
見る人を通していろんな視点や感覚を引き出すようなことを今回は結構考えた。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

今回のイベントの模様はYOU TUBEでご覧になれます。

梅田哲也のパフォーマンス
http://www.youtube.com/watch?v=YDE_oqzYTfM
蓮沼執太のパフォーマンス
http://www.youtube.com/watch?v=U1mdsz85UWU
アーティストトーク
http://www.youtube.com/watch?v=HATkmsAkXB0

EDGE TOKYO LABOTABORYは今後も開催予定です。
この場所や空間の特徴を活かして作り込んだ実験(作品)を通して、新しい発見や共感あるいは違和感、そういった日常のエッジを浮き彫りにしていけたらと思います。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

[co-lab二子玉川主任/ナカヤス]

(以下、告知情報)

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

edge tokyo laboratory

2013年1月18日(金)、音とアートをテーマにしたライブパフォーマンス&トークセッション
『EDGE TOKYO LABORATORY(エッジトーキョーラボラトリー)』を開催。

『EDGE TOKYO』イベントの新しいシリーズとして、いつものトークセッションに加え、暮らしや仕事など日常の中の音をテーマにライブパフォーマンスを交えた実験的なサウンドアートを体験します。

Umeda Tetsuya
                                             ©Tetsuya Umeda
都市の中で、私たちは多くの音に囲まれて暮らしています。しかし日々の生活の中で、それらに注意を払う機会はほとんど無いのではないでしょうか。
脳が処理する情報のうち、聴覚が占める割合は視覚の1/8ほどと言われています。かといって、人が生きる上で耳の役割が目に劣るということはありません。
むしろ空間特性や速度の認識、記憶の喚起など、目の届かないものに気づく能力であるという点で、聴覚は私たちに与えられたかけがえのないチカラと呼ぶことができるでしょう。
このイベントでは、音楽やアートの領域から「音」「知覚」「感覚」にカッティングエッジなアプローチで向き合っているアーティストを迎えてのライヴ・パフォーマンスとトークセッションを行います。
日常では体験できない感覚の研ぎ澄まし方に触れることで、環境や情報とのまったく新しい接点を発見できる貴重な実験の場になるでしょう。ぜひご体感ください。

<出演>
梅田哲也
ライブパフォーマンスやインスタレーションを中心に、国内外で幅広く活動するアーティスト。空間の構造の穴を突き、音やモノの運動、光などが絡みあう現象を立ち上げたり、ときにその場の状況を反転させるような行為をおこなう。これまでに、既存の展示空間のみならず、倉庫や廃校、旧道トンネルなどで展示をおこない、ホワイトキューブにおいても、壁の奥や天井裏などのデッドスペースをも魅力的な「素材」と捉えた作品を創出してきた。近年の主な個展に、2011年「はじめは動いていた」VOXビル(京都)、「大きなことを小さくみせる」神戸アートビレッジセンター、「小さなものが大きくみえる」新・福寿荘(大阪)、2012年「待合室」オオタファインアーツ(東京)など。現在開催中の展覧会に「Double Vision」Haifa Museum Of Art(ハイファ)、「ソンエリュミエール」金沢21世紀美術館がある。大阪在住。
http://www.siranami.com/
Umeda Tetsuya
                                             ©Tetsuya Umeda

蓮沼執太
1983年、東京都生まれ。音楽アンサンブル・蓮沼執太フィル/チームを組織し国内外のコンサート公演、展示作品の発表、舞台作品を制作する。またエッセイなどの文章寄稿も多数。映画、展覧会、CF音楽、舞台芸術、ファッションとあらゆるジャンルとのコラボレーションを展開する。自ら企画・構成をおこなう音楽祭《ミュージック・トゥデイ》を主催。主な展覧会に《have a go at flying from music part3》(東京都現代美術館|ブルームバーグ・パヴィリオン)、舞台作品《TIME|タイム》(神奈川芸術劇場)、音楽アルバムに4枚組CD《CC OO|シーシーウー》《POP OOGA|ポップ オーガ》(共にHEADZ)。2013年2月にアサヒ・アートスクエアで個展開催予定。 http://www.shutahasunuma.com/
ETL01
                                            ©Shuta Hasunuma

今回は各所で好評を博した総勢8名による朗読+音楽作品「タイム」を、今回のためにリアレンジ。円形の会場空間を活かしたパフォーマンスにご期待ください。
演目:『タイム』
2012年TPAM(国際舞台芸術ミーティング)プログラム、野村政之ディレクションで神奈川芸術劇場(KAAT)で初演をした舞台作品、蓮沼執太×山田亮太『タイム』。その後、六本木アートナイトにて国立新美術館での上演を行う。今回はほぼノンPAでの朗読と音楽を基調としたショートピースでの上演をする。初演から約1年の時を経て、より根源的な『タイム』への実践となるだろう。
出演:蓮沼執太、山田亮太、大崎清夏、石塚周太、木下美紗都、関口文子、斉藤亮輔、渡辺敬之 ほか。

——————————————————-
『EDGE TOKYO LABORATORY 01』
 ■日 時:2013年1月18日(金)19:00開場/19:30開演(22:30終了予定)
 ■会 場:カタリストBA(世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズオフィス8F)
 ■料 金:2,000円(1ドリンク&フリーフード付)
 ■出 演:梅田哲也、蓮沼執太 ほか
 ■定 員:100名(先着順、ご予約のお客様優先となります)

[予約方法]
 メールにて受付となります。
 下記アドレスに[お名前、所属、参加人数]をお知らせください。
 futako_entry@co-lab.jp 担当:中安(なかやす)
 折り返しご予約確認のご連絡を差し上げます。

[会場へのアクセス]
 東急田園都市線/東急大井町線二子玉川駅より徒歩1分
 ライズオフィス8Fまでエレベーターまたはエスカレーターでお上がりください。
 地図はこちら→ https://catalyst-ba.com/access.html
 ※20時以降にお越しの場合は正面エントランスからお入りいただけません。
  受付までお電話ください(03-6362-3443)

主催:Catalyst BA [https://catalyst-ba.com/]、安永哲郎事務室 [http://www.jimushitsu.com]
——————————————————-

※当日はイベントの模様をUSTREAMにて中継する予定です
http://www.ustream.tv/channel/edge-tokyo

※これまでのEDGE TOKYOイベントの模様は以下でご覧いただけます
http://www.youtube.com/channel/UC9TTNtfSf-AISnRGvZm4ZFg

関連する記事

REPORT (CATALYST BA)

[report]EDGE TOKYO DRINKS 02『MAKERS』... 2012.12.17 posted

   

REPORT (CATALYST BA)

[report]10.26 EDGE TOKYO DRINKS(エッジトーキョードリンクス)開催!... 2012.10.29 posted

  

REPORT (CATALYST BA)

[report]9.7 ライブトークイベント『EDGE TOKYO MEETING』開催!... 2012.08.20 posted