REPORT (CATALYST BA)

[report]EDGE TOKYO DRINKS 08『コンテンツが先導するメディアの時代』

分野   

Post : 2015.04.08
Permalink : https://catalyst-ba.com/archives/3052

『コンテンツが先導するメディアの時代』と題して、中村伊知哉教授、倉本美津留氏にゲストとしてお越しいただきました。池澤あやかさんの司会で8回目となるEDGE TOKYO DRINKSがはじまります。

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まずは中村伊知哉先生からのプレゼンテーションです。

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中村先生からは、人類の残したコンテンツの起源からはじまり、一気に現在のメディアの状況にまで触れ、今また大きな変化の波がきているということを俯瞰いただきました。そこから日本のメディアとコンテンツの状況を、ご自身の活動とともにご紹介いただき、今ある課題とこれからの展望など、非常にわかりやすくお話いただきました。

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「コンテンツ」という言葉が生まれたのが今から20年ほど前、パソコンが普及し、インターネットがでてきて様々な情報がひとまとまりに動くようになった時でした。そしてここ数年はスマホ、電子書籍リーダー、タブレットというものが出てきて、マルチスクリーンという状況が生まれ、ネットワークではブロードバンドと地デジの整備が完成、クラウドネットワークを利用したソーシャルサービスが注目を集めています。メディアを構成する端末とネットワークとサービスが一斉に乗り替わっている、というのが世界的な動きとしてあります。
そのような状況のなかで、日本のコンテンツ産業はどうなっていくかというのは目下の課題となっています。

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日本の強みは何かというと「技術と表現とネット」この3つを持っていることだと思います。その典型といえるのが初音ミク。ボーカロイドという技術と、かわいいキャラクター表現、そしてネット上でみんなが参加して育て上げ、世界に出ていったということ。これは日本にしかない強みです。

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デジタルを使いこなす点では、日本の若い世代が世界をリードし続けています。世界中のブログで使われている言語のデータを足し合わせたら、日本語が37%で英語の36%を抜いて世界1位になり、また世界中のモバイルユーザーの平均的な情報発信量を調査したら、日本は世界平均の5倍でダントツ世界1位だそうです。
こうした「みんなが情報を作って発信したいという力」をどう活かすのか、大きな課題であるとともに可能性も秘めていると思います。

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実際日本のマンガ、アニメ、ゲームといったコンテンツは、海外において非常に評価が高く、人気があります。
世界のコンテンツ市場は伸びているが、日本では今のところ成長産業とはいえないのは、アナログからデジタルへの過渡期であるという状況もありますが、日本の社会、経済側がすでにあるコンテンツをうまく使えていないということだと思うんです。

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日本の一番の問題は日本人が日本のことをわかっていないということです。世界で一番クリエイティブな国はどこかと世界中の人に聞いたところ、日本が36%でダントツ1位になりました。世界から一番クリエイティブな国だと思われているんです。ところが「あなたの国はクリエイティブか」と聞かれたときに、日本はダントツビリだったんです。19%しかYESといわない。
外からは創造的ですごいと思われているのに、そんな意識がないから自分で力を発揮しようとしていないということではないでしょうか。これからは少し自信を持って外に力を出していきたいなと思っています。

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中村伊知哉先生からの’授業’に続いて、倉本美津留氏からのプレゼンテーションです。

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倉本氏からは、ご自身がこれまで作られてきたテレビ番組の紹介をしていただきながら、それがどんな発想で生まれ、どういう意味をもっていたのか、様々な事例とともにお話しいただきました。いずれも実験的かつ、刺激的なものばかりで、その発想や実現力には感心しっぱなしでした。

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30年ちかくテレビ番組を作ってきているんですが、今が一番変わりつつあるんじゃないかと思っています。
僕がテレビをはじめた頃、もっとテレビは面白くなるんじゃないかなという思いで、今なら絶対怒られるような企画をやっていました。
視聴率調査機はほんとうに存在するのか?という番組をやったりしました。

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テレビというのは誰にむかってどう作ったらいいのかなと。これだけたくさんの人に影響を与えるすごいものが、ふと見たり見なかったり、瞬間瞬間で人の気持ちや人生を変えてしまうことがあるんですよ。それだけ影響力の強いのがテレビというメディアだと思います。
これまでテレビがどんなメディアよりも強い時代が続いていたのが、今は他のメディアと同化してきています。そういう方向に進んできているのは間違いないでしょう。

以前作ったテレビ番組で、放送後それをすぐにYOUTUBEにアップして、海外の人のためにも字幕をつけるということをやったり、もっと前にはUstreamと連動したテレビ番組もやりました。すごく実験的なことで、まだレギュラーにはなっていないんですが。テレビがテレビ以外のメディアとどう繋がっていくのか、その布石は打てたんじゃないかと思います。

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常にいままでやっていないテレビは何なのかと、ずっとテレビ論を考えてきていますが、テレビの可能性はいろいろあるので、何か遊べないかなといつも探っています。そして今こそ、テレビをどうしたら良いのかということを探るのが楽しくて、テレビの新しい時代が来るんじゃないかと思っています。
その一方で、世の中すべてが発信者になっている状況でいったい何が面白いのかを探すのは大変になってきています。テレビはテレビなりに、面白いものを抽出して、テレビ的に面白く見せるという役割があると思っていますが、意外とそれがまだできていないのではないでしょうか。

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面白いものがいっぱい世の中に転がっているんですが、それをどう拾い上げて、面白く見せるのか。それを面白いと思える感性というのを育てていきたいと思っています。自分はちょっと変わっているかもしれない、浮いているかもしれない、浮いているということがチャンスだと思えるような。

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(と、ここで突然ギターを取り出して…)
そんな僕がこれからうたを歌います。なんでやねんと思うでしょ。この「なんでやねん感」というのが大事なんです。
「素晴らしい」という感覚をみんなに持ってもらいたいと思っていて。素晴らしいというのは一体なんなんだと。素晴らしいとはWonderful。WonderfulとはWonderがfulなんです。つまり不思議がいっぱいになると素晴らしい、ということなんだなと。まさかうたを聞くことになるとは思ってなかったでしょ?
不思議がいっぱい増えることで素晴らしい感覚が増える、といううたを歌います。「Wonderful」

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倉本氏の「Wonderful」で意外な感動に包まれながら、短い休憩を挟んで後半へとはいります。

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後半はおふたりの対談です。

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はじめに中村先生からの質問が次々と出てきて、自然と対話が盛り上がっていきます。

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中村先生:今日のキーワードは「なんでやねん感」だと思います。今大事な能力なんじゃないでしょうか?

倉本氏:「なんでやねん力」というのは大事な力です。

倉本氏:こんなことがなんでできるの?ということがあって。わかりませんけど、できました。ということがあったりすると思うんですよ。たまにあるということを大事にしたいし、これがたまたまじゃなくて増えたら良いなと思って生きています。

中村先生:たまたまというのが自由に起こせるようになるといいですね。そのたまたまを1年に1回とかずっとやっていくのが本当のプロフェッショナルだと思うんです。それができる人をどうやって生めば良いのかっていうのがわからない。

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倉本氏:ヒラメキのことを考えたことがあって。どうやったら閃くのか。
ひとりで考えてるんじゃなくて、ある人間としゃべっているときに、どんどん閃いていける経験を何度もしたんです。
閃きっていう漢字あるじゃないですか。あの漢字、門がまえに人って書くでしょ。自分の脳の扉を開きに人がきてくれるんですよ。お互いに開け合うからどんどん、閉じこもっていた意識が開いていく。
鍵穴と鍵のかたちって合う合わないあるじゃないですか。自分に合う鍵を持っている人にどれだけ出会えるか。出会ったらすごく大切にしてガーッとやるのが大事。

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中村先生:NPOを立ち上げて一番最初にやりたかったワークショップは「どつき漫才ワークショップ」なんですよ。日本にしかない表現手段で、それをこどもたちにやらせて世界に輸出するという。

倉本氏:漫才ってほんとに日本の文化の中で突出したものだと思っています。イメージの交換を見ていて、見てる側も勝手にイメージできるじゃないですか。マイク一本あったら宇宙にでもいけるでしょ?落語もそうですが、漫才はそれでコミュニケーションも入りますからね。

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中村先生:お笑いの国際競争力はあると思いますか?

倉本氏:漫才が世界に通用するようになったら、世界は平和になるんじゃないかなと本気で思っています。世界が成長してやっと日本食の良さがわかるようになったのと同じように、お笑いもそれを見る側が育たないといけない。
日本の中でもおもしろさがもっと伝わってほしいと思っています。番組を見て育つ子どもたちが、もっとおもしろくなってほしいなと思って今までやっていました。それで僕たちが作った番組を見ていた中学生や高校生が大人になって、最近一緒に仕事をするようになったんです。いろいろな業界で、面白い仕事をやっている人たちが、みんなあの番組を見て刺激になっていると言ってくれて、お笑いじゃないところにも刺激を与えてきたんじゃないかと思っています。

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中村先生:日本のお笑いは突出してレベルが高くなっているんじゃないかと思います。音楽もそうだし、アニメやゲーム、マンガも明らかにそうなんです。その良さを世界の人が気づきはじめている。日本人は自分たちでそれをもっと世界にプロデュースしていかないといけないんです。

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対談は時間を忘れていつまでも続きそうな雰囲気でした。コンテンツを作る立場、メディア政策など枠組みを作る立場、それぞれの第一線で活躍されているおふたりの話は大変興味深いもので、参加者のみならず登壇者自身も互いに刺激を受けているようでした。これからのメディアとコンテンツを考える良いきっかけになったのではないでしょうか。そして、ここから新たなコラボレーションが生まれることを期待したいと思います。

(以下、告知情報)
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EDGE TOKYO(エッジトーキョー)はカタリストBAが主催、co-labが企画協力をしているライブトークイベントです。5月27日(火)に開催するのは8回目となるEDGE TOKYO DRINKS。これからのメディアとそのコンテンツをテーマに開催します。

テーマ:コンテンツが先導するメディアの時代
いつでもどこでも誰でもITに触れることができる”ユビキタス”という言葉を覚えている方はいるでしょうか?今や日本で携帯電話の普及は語る必要も無く、スマートフォンの普及も全人口の30%を超え、いつでもどこでも誰でも電話だけでなく動画の受配信すらできる時代です。カフェは電源とWiFiが充実しているかどうかで選ばれ、それだけあればオフィスがいらないワーカーも出現しています。
今回のEDGE TOKYO DRINKSは、”ITを提供する”という時代を経て、誰もが”ITで何をするか?”を考えることができる時代における、これからのコンテンツやサービスにスポットを当てたいと思います。日本のポップカルチャーやデジタルコンテンツ流通を政策制度面からデザインする慶應義塾大学・中村伊知哉教授と、作り手として長らくテレビ放送作家として活躍し、現在は幅広く言葉を使ったクリエイションを行っている倉本美津留氏をゲストに迎え、これからのコンテンツの創り方、コンテンツを取り巻く社会の仕組みについてのビジョンを共有します。

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【ゲスト プロフィール】
中村伊知哉 教授
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。1984年、ロックバンド少年ナイフのディレクターを経て郵政省入省。通信・放送 融合政策、インターネット政策を政府で最初に担当するが、橋本行革で省庁再編に携わったのを最後に退官し渡米。1998年、MITメディアラボ客員教授。2002年、スタンフォード日本センター研究所長。2006年より慶應義塾大学教授。内閣官房知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会 座長、文化審議会著作権分科会専門委員、文部科学省学校教育の情報化に関する懇談会委員、文部科学省コミュニケーション推進教育会議委員。一般社団法人融合研究所所長、 デジタルサイネージコンソーシアム理事長、デジタル教科書教材協議会副会長、CANVAS副理事長、ミクシィ社外取締役などを兼務。
http://www.ichiya.org/

倉本美津留 氏
放送作家。「ダウンタウンDX」Eテレのこども番組「シャキーン!」などを手がける。これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」他。「一人ごっつ」では大仏として声の出演も。近著にことば絵本「明日のカルタ」(日本図書センター)、「ビートル頭」(主婦の友社)。また、ミュージシャンとしても活動。2008年、アルバム『躾』をリリース。ユニット”YOUに美津留”ではNHKみんなのうたに『月』を発表。2013年、空気公団とのユニット”くうきにみつる”のファーストミニアルバム「はにほへといろは」をリリース。
http://www.ninpop.com/

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【モデレーター プロフィール】
池澤あやか 氏
1991年大分県生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部をこの春に卒業。2006年の第6回東宝シンデレラオーディションで審査員特別賞を受賞し、同年映画『ラフ』にてデビュー。映画『デトロイト・メタル・シティ』やドラマ『斉藤さん』などの他、舞台やCMに出演。タレントとして活躍する一方、プログラミングができる女優として人気が急上昇、「Rubyの女神」と呼ばれる。現在、NHKEテレ高校講座「社会と情報」メインMCとして木曜日 隔週再放送 午後2時から2時20分 OA中!」
http://ikezawaayaka.com/

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EDGE TOKYO DRINKS 08
日 時:2014年5月27日(火)19:00開場/19:30スタート(21:30終了予定)
会 場:カタリストBA https://catalyst-ba.com/access.html
    東京都世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズ・オフィス8F
参加費:前売り1,000円/当日1,500円(Peatix発券)※1ドリンク、フード付
主 催:カタリストBA(東急電鉄/コクヨ/co-lab)

[予約方法]
Peatixのサイトよりお申込みください
http://peatix.com/event/35604

[会場へのアクセス]
東急田園都市線/東急大井町線二子玉川駅より徒歩1分
ライズオフィス8Fまでエレベーターまたはエスカレーターでお上がりください。
地図はこちら→ https://catalyst-ba.com/access.html
※20時以降にお越しの場合は正面エントランスからお入りいただけません。
受付までお電話ください(03-6362-3443)

[お問い合わせ]
下記メールアドレスまでご連絡ください。
futako_entry@co-lab.jp 担当:佐中(さなか)、中安(なかやす)

※過去の開催レポートはこちらから https://catalyst-ba.com/edge_tokyo.html
※動画(youtube)http://www.youtube.com/channel/UC9TTNtfSf-AISnRGvZm4ZFg

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