REPORT (CATALYST BA)

[report]EDGE TOKYO DRINKS 02『MAKERS』

分野    

Post : 2012.12.17
Permalink : http://catalyst-ba.com/archives/1006

edge tokyo lab

EDGE TOKYO DRINKS、2回目のテーマは『MAKERS』でした。
アメリカのWIRED元編集長・クリス・アンダーソンの著書『MAKERS』の日本語版が出版され、日本初のMAKER FAIREも開催される中、大きな関心を集めているMAKER MOVEMENT。
今回日本語版『MAKERS』の編集者である松島倫明氏をモデレータに迎え、クリエイターの集まるコラボレーションスタジオco-labから、実際にものづくりに取組むクリエイター、またMake:の編集者であり、日本のメイカーコミュニティを作ってきたオライリージャパンの田村英男氏など多くのゲストを迎えて、日本のMAKER MOVEMENTについて語っていただきました。

edge tokyo lab
NHK出版松島氏よりメイカームーブメントの概略をお話いただきました。(youyube動画→http://www.youtube.com/watch?v=IjJn-yDf4fI
いままでの10年はデジタル(ビット)の革命であったが、これからの10年はリアルな世界(アトム)で同じような革命がおこる時代である。
新産業革命ともいわれるメイカームーブメントを4つのポイントで表すと以下のようになる。
1、デスクトップファブリケーションが普及し、デジタルデータを活用したものづくりが非常に身近になった
2、ネットワークを通じて世界の工場が個人に開かれるようになり、オープンオーガニゼーションというまったく違うものづくりのサイクルが可能となった
3、キックスターターなどネットを利用した資金調達が盛んになり、だれもが手軽にファンドレイジングを行えるようになった
4、ソフトウェアの世界では一般的だったオープンソースという考え方が、デジタル化やネットワークによってものづくりの世界でも実践されるようになった。

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オライリージャパン・田村英男氏(youtube動画→http://www.youtube.com/watch?v=L4CMaP8XN6k

Make:の編集や関連イベント=メイカーフェア、カンファレンス、ワークショップなど開催している。
Make:の発行人デール・ダハティによるMakerを定義とは。
『我々はテクノロジーを消費するだけの存在ではなく、テクノロジーを創造する人間「Maker」になれる。』

今年のメイカーフェアでは取材が70社、はじめての有料イベントであったにも関わらず9100名の来場者があった。
またモノがよく売れていた傾向にあるようで、メイカーたちを応援したいという気持ちの現れではないかという。

日本のMake:イベントがここまで成長した要因として以下のようなことが挙げられる。
アメリカから来たイベントであるため、日本のどのコミュニティにも属しておらず、だれもが均等に参加しやすい状況だった。
参加者にオープンソースコミュニティの関係者が多く、自分のつくったものやイベントそのものの情報共有に積極的だった。
Arduinoという安くて高性能なハードウェアが普及してきたため、プログラマーが利用しやすくなってきた。
出展者のブログやツイッターなどソーシャルメディアを利用しながら拡大していった。
来場者として来た人が次は出展者として参加したり、隣同士の出展者が一緒にものづくりをする機会を得るなど、コミュニティの形成される土壌があった。

ちなみにMake:の最初のイベントは多摩川の河川敷でおこなわれ、3〜40名が集まったとのこと。
メイカームーブメントにもいろいろあるが、モノをつくって驚いたりする素朴な楽しみにというのがベースにはあって、それを大切にしていきたい。

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エージーリミテッド・飯野健一氏(youtube動画→http://www.youtube.com/watch?v=x-FMVfLc0mM

エージーリミテッドはits more fun to iphoneをスローガンに、世界初の光るイヤホンアクセサリーpinaを開発。
ぴかぴかpina kitとして販売しており、LEDの実装された基盤とフェルトがセットになっていて、自分で組み立て、アプリと連動して楽しむことができる。
pinaはDIY的に製造されており、基盤は香港のクラウドファクトリーに発注、ハンダ付けを自分で行い、フェルトはレーザーカッター、ステッカーもクラフトロボを使ってカットしているという。
企画から利用者の手に届けるまでを、ワンストップで全て自分でやることで、開発者の想い=熱を純度高く伝えられるのではないかと語る。
発想から発売までには、その中心に様々な人が関わるチームづくりがあった。
最初に、単なる飾りではなくアプリと連動して動くアクセサリというアイデアが出てきたが、ハードウェアと連動できる技術が無かったためにツイッターで技術者を探すことから始まったという。
その後、IAMAS出身のチームGenerative Idea Flow、テクノ手芸部、学生など様々なメンバーがチームに加わり、1年半かけて開発。
今年のYahoo!Japanインターネットクリエイティブアワード スマートデバイスアプリ部門シルバー獲得した。
現在、ワークショップを通じて告知をしたり、自社運営のECサイトにて、ダイレクトにユーザーに届けるということをしている。

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roro concept・伊藤聡一氏(youtube動画→http://www.youtube.com/watch?v=NrkaRXP3nRI

CMFとはColor/Material/Finishの略で、モノとして完成させたものを、コトとして人に伝えていく仕事。ものを作る視点と受け取る視点を常にいったりきたりしている。
モノを作る上ではマテリアルや表現技法などを集約してひとつにまとめるが、コトとして伝えるときは色のバリエーションやトーン&マナー、相手のライフスタイルに合わせて展開していく。
メイカームーブメントは、ビットとアトムという表現で語られることがあるが、それにプォトンをプラスしたい。光を加えることによって情報や物質の「質」を語ることができるのではないかと考えている。
またメイカーズという非常に幅の広いムーブメントにおいて、今後キュレーションという役割が必要になってくるだろう。多くのアイデアやマテリアルがある中で、あるフィルターをかけることで、価値あるものが拾い上げることができると考えている。
そしてモノをつくるとき色や素材など、全体をコミュニケーションとしてデザインしていく人がこれからますます重要になる。

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システムクリエイツ・小杉博俊氏(youtube動画→http://www.youtube.com/watch?v=i5_saFtfjOw

紙の仕事人として紙素材を扱って50年ちかくものづくりに携わってきた。70歳を機に十数年の顧問生活をやめてものづくりの道に戻る決心をした。
これまでには電子レンジで230度の発熱をする紙を開発し、冷凍ピザ用に絶賛されたが、危険だということで幻に終ったものや、CDのパッケージ用に開発したソフトビーズ加工、バックナチュラルという百貨店のショッピングバッグ用に開発した紙、出雲大社の屋根に載っているヒワダを利用した神紙という紙をつくったり、クレヨンや色鉛筆がばんばん無くなる神をつくったり。紙の開発だけでなく、ネーミングや商品企画など、世の中にないものをつくりたいとずっとやってきた。
今後、飯野さんの後を追って、デジタルファブリケーションによるものづくりをやりたい。紙を3Dでスキャンして3Dの紙の見本帳をつくったり。3Dプリンタで紙をつくりたいと考えている。

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FabLab Shibuya 梅澤陽明氏と久保田晃弘氏(youtube動画→http://www.youtube.com/watch?v=mC-h4CTwcHY

日本には2011年から活動しているファブラボとは、市民工房であり研究室でもあって、3次元プリンタや木工機器、ミシンなどの機材を共有している。
世界に135カ所あるが全てのファブラボともネットワークをもち、ものづくりをしたくて集まった人が、そこで新たに人や技術と出会うための場所としても機能してる。

渋谷にあるco-factoryはco-labに入居している人のもっている機材をシェアして、メンバー間で使うことの出来る工房。
co-lab渋谷のメンバーであるFablabShibuyaもそこを活用しながら活動しており、様々な方がものづくりにやってくる。
やりたいことも属性も様々で、起業に繋がった事例はまだないが、本業をもちながら試行錯誤をしている段階の人が多い。

こうした場が増えていくことで、モノを作りやすくなる環境が整うと予測しているが、これからは「何故つくるのか?」というところに意識を向けてほしい。
世の中にあるものには、欲しいモノと必要なモノがあるが、必要なモノには生活や社会にある課題を解決するものも含まれている。
課題のシェアをしながら、何故つくるのか、ということを明確にし、じっくり課題に向き合ってほしい。

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FabLab Shibuyaによる3Dプリンタのデモも行われた。
特定の年月日の惑星の軌道からある形状に変換し、それをアクセサリーにするというシステム。

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後半はすべてのゲストを交えてのトークセッション。(youtube動画→http://www.youtube.com/watch?v=LVF5yyXjuTg

3Dプリンタは決して新しいものではない。20年前からポスト大量生産のものづくりが研究されていた。
当時2000万円くらい。3Dスキャナが200万円くらい。
今の時代はこうした機材がコストダウンしてきて、メインフレームからパーソナルコンピュータに進化したのと同じことが起きている。
技術が新しいのではなく、その技術をだれでも活用出来るという状況が大きく社会を変えていくのではないか。
この動きがうまく社会の中に繋がって影響を与えていくというのは面白いと思う。

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実際にMake:イベントで3Dプリンタやレーザーカッターを使った作品が多く出てきたのはここ1〜2年くらいのこと。
企業に企画を持ち込んだこともあったが、意思決定が遅く進まないため、自分でやってしまった方が良いと判断した。
日本ではアメリカほど起業が盛んではないが、売ろうとする動きは増えている。ネットなどを通じて、個人で販売ができるようになってきた。
アイディエーション→ファブリケーション→オブザベーション→アイディエーションという循環。

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メイカームーブメントがただのブームに見えてしまわないために、企業から信頼される努力をしないといけない。
ものを作れる形でつくっていると、誰でもつくれるもの=価値がなくなってくる。コンテクスト=ストーリーを組み立ててないと価値を生むことにつながらなくなる。
誰もがデザイナーになってくる時代に、自分を見直して何を伝えるか、何故作るのかというところを明確にしていかないといけない。
マスで作ってきたものが小ロットでできるようになってくることに対して、メーカーも変わらざるを得ない状況にはなってくるだろう。

非常に関心の高いテーマであったようで、たくさんの方に起こしいただきました。
ゲストそれぞれのメイカームーブメントに関する考え方や意見を交換することで、日本のこれからのものづくりの新たな方向性を話し合うきっかけとなったのではないでしょうか。

[寄稿/co-lab二子玉川主任 ナカヤス]

(以下、告知用記事)
EDGE TOKYO DRINKS 02

12月6日(木)に2回目となるライブトークイベント、EDGE TOKYO DRINKS 02(エッジトーキョードリンクス)を開催します。
楽しく飲むだけでなく、気軽にアイデアや情報を交換し共有することで、新たな刺激や発見があり、またコラボレーションなどを誘発できることを期待しています。眼下に多摩川(東京のエッジ!)を望み、特徴的な円形スタジオを持つカタリストBAで、毎回テーマを設定して、ゲストによるプレゼンテーションを交えながら、対話の生まれる時間と空間を共有しましょう。
第2回目のテーマは『メイカーズ』です。

お申込みはメールにて[お名前、所属、参加人数]をお知らせください
futako_entry@co-lab.jp

EDGE TOKYO DRINKS 02
2012年12月6日(木)19:30~22:00[19:00開場/受付、19:30スタート]
会場:カタリストBA(世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズオフィス8F)
入場料:1,000円(1ドリンク付き) 
定員:100名
お申込:メールにて[お名前、所属、参加人数]をお知らせください
    futako_entry@co-lab.jp 担当:佐中(さなか)/中安(なかやす)
アクセス:東急田園都市線/東急大井町線二子玉川駅より徒歩1分 ライズオフィス8F
 こちらを参照ください→http://catalyst-ba.com/access
 夜8時以降にお越しの場合は正面エントランスからお入りいただけません受付までお電話ください。[03-6362-3443]
主催:Catalyst BA [http://catalyst-ba.com/]

テーマ02:{メイカーズ}
デジタルファブリケーションの設備やソーシャルネットワークの仕組みを利用した、パーソナルファブリケーションが新しいものづくりの潮流として、注目を集めています。
これまでのマスプロダクションを中心とした製造業は大きな資金投資や、販売マーケットへのアクセスも大きな課題としていました。それがデスクトップのデジタル機器によってだれもが試作を作ることができ、またソーシャルネットワークを利用した資金調達〜製品のブラッシュアップ〜プロモーション〜販売まで、個人ベースの繋がりが新しいものづくりの環境を作っています。同時に、工場などへ外注する旧来の方法をとりながらも、個人でメイカーとして活躍する人も増えています。製造業者が個人のものづくりのニーズに応えるようになってきており、ものづくり環境の多様性が生まれています。
このメイカーズムーヴメントは日本でもにわかに注目を集めており、新しい環境が「作り手」のニーズを満たすかたちで拡大をしていくでしょう。今話題の本『MAKERS』(クリス・アンダーソン著 NHK出版)の編集者・松島倫明氏をモデレータに迎え、またクリエイターの集まるco-labから多彩なゲストクリエイターが集まって、世界的な動向と合わせて、日本のこれからのものづくりについてのアイデアを共有します。
会場では、メイカーズたちの実際の製品展示や、FabLab渋谷の協力による3Dプリンターなどの実演を見ることができます。ものづくりに興味のある方、関わっている方、是非ご参加ください。

(EDGE TOKYO DRINKS 01 の様子)
EDGE TOKYO DRINKS02

【モデレーター】
松島倫明(書籍編集者/NHK出版)
NHK出版 編集局学芸図書編集部チーフエディター/1972年東京生まれ/一橋大学社会学部卒/1999年から村上龍氏のメールマガジンJMMやその単行本化などを手がけ、2004年からは翻訳書の版権取得・編集に従事。ノンフィクションから小説までを幅広く手がけている。代表的なタイトルに『フリー』『シェア』『パブリック』『Think Simple』『国のない男』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『BORN TO RUN』など。最新作はクリス・アンダーソン『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』。

【プレゼンター】
飯野健一(ファブリケーションプロデューサー/Ag Ltd./co-lab渋谷メンバー)
1973東京生まれ。東京造形大学卒業。国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒業。任天堂、ガスアズインターフェイスを経て、2008年エージーリミテッド設立。『it’s more fun to iPhone』をテーマに、スマートデバイスの画面を飛び出したその先に、もっともっと楽しい体験と驚きを提供できるようなアクセサリー、インターフェース、アプリケーションを企画・開発しています。
http://agltd.jp/

久保田晃弘(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授/FabLab Shibuyaメンバー。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。衛星芸術(artsat.jp)、バイオアート(bioart.jp)、デジタル・ファブリケーション(fablabjapan.org)、ソーシャル・マテリアル (monofactory.nakadai.co.jp)、自作楽器によるサウンド・パフォーマンス (hemokosa.com) など、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。

梅澤陽明(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
1984年神奈川生まれ。FabLab Shibuya 代表。多様なデジタル/アナログツールが溢れる今日、「つくる」をより身近にする環境やしくみの構築を目論みながら、さまざまな企画を進行中。ラボ外の活動として、移動型工作工房「Faboo」プロジェクト(faboo.mobi)慶應義塾大学 SFC研究所 訪問研究員、See-D実行委員事務局長(see-d.jp)。
fablabshibuya.org

伊藤聡一(CMFデザイナー/rolo. Concept/co-lab二子玉川メンバー)
CMFデザイナーとして活動。日本大学生産工学部機械工学科卒業、Academy of Art
University工業デザイン学部プロダクトデザイン科卒業の後、日産自動車グローバルデザイン本部、キヤノン総合デザインセンターを経て、2011年春に独立。自身の働き方を見つめ直し再構築している最中。仕事は人やモノ、風土や文化を考えた「色と素材」の仕立で、消費者に魅力と品質が伝わる商品を開発すること。特に日本のモノ作りを支える職人の方々へのサポートを展開中。
http://www.roloconcept.com/

小杉博俊(System Creates Chief Officer/システムクリエイツ/co-lab渋谷メンバー)
40数年間「紙の仕事人」として、こだわりと異質さと執念をもった発想力で紙仕事(素材開発・用途開発・デザイン)に励んできました。また「こころからのものづくり」を理念として”ユニバーサルでエコロジーでエコノミー”なモノを創るべく紙仕事に挑んでいました。2012年10月、IT時代のシニアクリエイターとして再スタートすべく、活動拠点をクリエイティブワーカーの集合体で且つメンバー同士のコラボ活動を目指すco-lab渋谷アトリエに移転、同時に「紙の仕事人」を改め「Paperlike Material Creator(紙系素材・クリエイター)」と名告る事としました。
http://www.systemcreates.co.jp/

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